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月夜のモアイ像

みなさんこんばんは、はんだちんです。

忘れもしない2004年の年末、僕は極寒のミネソタにいた。
クリスマス休暇は真夏のイースター島に行く予定だ。
真夏の楽園を想像する。期待を膨らませながら乗り継ぎを待つ。

ところが運悪くウインターストームに襲われた。しかも記録的な奴だ。
イースター島に飛ぶ前日の午後、ついにフライトキャンセルになった。
僕は慌ててカウンターに押しかけたが、一番早くて3日後まで飛べないらしい。
クリスマスシーズン、どのフライトもいっぱいなのだ。

大急ぎでレンタカーデスクに行き、乗り捨ての出来るプランでSUVを借りた。
ミネアポリスの空港を午後の4時に出て、コロンバスに着いたのは翌朝7時。
トータル15時間のドライブだ。途中目の前でトラックが炎上、足止め2時間。
オハイオに入るとウインターストームの洗礼をもろに浴びた。
ハイウエイはまさに氷で覆い尽くされていた。睡魔と闘いながら氷結路を
3時間走りぬいた。まさに地獄だ。

なんとか家に着き、荷造りをして出発。しかし、ガレージの前には雪山が。
そして予想通り見事に雪の固まりにスタックした。情けない。

雪をかき分け何とか空港に辿り着いたのは搭乗5分前。
悔しさで涙が出てきた。諦めずにカウンターに行くと、フライトディレイだ。
諦めなくて良かった。何とか飛べる。長蛇の列に並んで待つこと1時間。
やっと自分の番が来た。しかし、係の女性が首を振る。明後日まで飛べない。
それじゃぁイースター島への乗り継ぎに間に合わない。返金してくれ。
僕は苛立ちを抑えながらそう言うと、係員は何やらキーボードと格闘を始めた。
かなり綱渡りだが、イースター島行きの便に間に合う組み合わせを
なんと彼女は弾き出したのだ。

搭乗口に駆け込み僕は飛び立った。かなり揺れたが着陸も成功した。
だが不運はまだ終わらなかった。ゲートが凍り付いて降りれない。
次の乗り継ぎも迫ってるというのに、なんてこった。
こんなところで足止め喰らうなら飛ばなかった方がましだ。
乗り継ぎの時間になり、僕は深くため息をついた。
と、その瞬間飛行機のドアが突然開いた。

僕は走った。とにかく走った。そして乗り継ぎの便に飛び乗るとドアが閉まった。

それからは驚くほど順調だった。
まるで何事もなかったかのように真夏のイースター島に辿り着いた。

イースター島はとても静かだった。
モアイたちもゆっくりとした時間の中に静かに佇んでいた。

月夜のモアイ像
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CANON EOS7 EF24-70 f2.8L USM RHPII